3章 POMにおける予測

 

 完全な事業計画(事業戦略−経営戦略)の立案は難しい事であるが、各部分の予測を的確に行うことで精緻さを増す必要がある。

 計画の第1ステップは将来の製品、サービス、そしてその産業に必要な資源を“予測”すること、即ち、“需要予測”に始まる。それは、POMにおける事業計画立案の出発点となる。管理者にとっては、製品、工程そして設備についての戦略を決定するために、長期間に渡る予測と共に、23週間という近い将来に起こる製造上の問題、即ち、短期の予測も必要である。

 図3.1に、事業計画における“予測”の位置付けを示した。市場の状況・経済の見通し・法規制等のインプット情報に対して予測の手法・モデルを応用することで、需要予測を行う。この需要予測は販売の予測を行うだけでなく、先に述べた経営戦略の考案や生産に必要な資源の予測に用いる。

 

                  3.1  経営計画における予測の位置づけ

3]−1 予測手法

 予測手法のモデルには、定性的なものと定量的なものとがある。ここでは、その代表的なものを示す。

 

3]−11 定性的予測手法

  定性的な予測手法は結果と原因の因果関係がはっきりしない場合に用いられるもので、将来の出来事に対する直感的な判断を含んでいる。

 企業の役員会(Executive Committee)の意見やデルファイ法は、販売予測や新しい製品/サービスはもとより現在の製品/サービスの両者について共通の見解を示すために用いられる。一方、購買力調査や顧客(消費者)調査は本質的には現存の製品に対して応用される手法であり、それに対し、歴史的な類似性の分析や市場調査は新製品/サービスに関する情報を得ようとする様に応用される。

 

3]−12 定量的予測手法

  定量的予測手法とは、過去のデータに基づいた数学的手法であり、過去の事象がこれから起こると予測される事象と類似しているであろうとの仮定に基づいている。通常いくつかの良く似た事象が見つかるものであるが、その予測の正確さ(精度)を検討する必要があるとともに、予測精度が悪い場合は予測モデル手法の変更を行う必要がある。定量的予測手法の代表的な例を次に示す。

1. 線形回帰

最小2乗法と呼ばれる方法を用いて目的関数に1つあるいは複数の独立変数の関係を定義し、時系列の関係を表現する。単回帰分析において独立変数は1つであり、重回帰分析においては複数の独立変数を用いる。もし、時系列データが時間のような連続であるものの場合は、独立変数には期間を用い、目的関数は需要となる。線形回帰は普通、長期予測に用いられるが、将来の複数の期間だけに対する短期予測の手法としても活用できる。

2. 移動平均法

次期の需要を予測する短期予測モデルの1つである。この方法は最近の明確なデータから算術平均を出し、その値を次期の予測に用いるものである。

3. 重み付き移動平均法

このモデルは移動平均法の算術平均の代わりに期に対する重み付き平均を用いて次期の予測を行うものである。

4. 指数平滑法

短期の需要を予測するもので、この方法は需要予測値をその期間の予測エラーを考慮に入れて修正するもので、修正予測を次期の予測に用いる。 

5. トレンドを考慮した指数平滑法

指数平滑モデルの修正にトレンドのパターンを加えたものである。この方法は重指数平滑法と呼ばれ、平均の予測とトレンドの予測を同時に行える。

 

3]−2  長期予測

 長期予測とは、将来のある1年以上の期間の状況の予測を行うことである。長期予測は製品、工程、テクノロジ、設計についての戦略的決定を行うPOMに不可欠なものである。

 生産システムの長期的な成功にとって予測結果が重要となるいくつかの例を挙げると次の様になる。

@       新製品の設計に際し

     需要予測により生産数量がかなりの量であり、自動化を試みた方が良いと判断さ

    れたなら、製品設計から見直す必要があろう。

A       新製品の生産量の決定に際し

     どのくらいの量が必要とされるかの情報を基に、どのくらいの規模の設備が必要

    かの検討、また、どこにそれを立地させるかの決定

B       原料調達の計画立案に際し

     予測はマネージャーが原料供給の長期的な契約を結ぶ判断となる。長期予測は新

    しい機械の購入や建物の建設、原材料の調達先の開発といった活動を進展させる。

 

 長期予測のデータの中には図3.2に示すようないくつかの傾向を持っているものがある。それはトレンドと呼ばれる上昇、下降傾向、周期性、季節性などであり、それらの傾向が見られない場合をランダムあるいは、ノイズと言う。

 

 

          図3.2  時系列データに含まれる“傾向”

 

 

3]−3 線形回帰と相関関係

 明らかな傾向がある場合は時系列データを正確にグラフ化し予測に用いることができるが、正確にグラフ化できない場合に用いる方法として回帰分析がある。

 線形回帰分析は1つの目的変数と1つあるいは複数の独立変数との関係を表した予測モデルである。それを解くには目的関数の値を予測するための独立変数の値とそれらの関係について考えなければならない。

 表3.1は変数、変数の定義、単回帰分析の式を示したものである。このモデルはY=a+bXの形で、回帰方程式と呼ばれている。この式では、Yが目的変数で予測値であり、Xは独立変数となる。そしてay(母)切片と,bが母回帰係数と呼ばれている。表3.1の方程式を用いることで、このabは計算できる。

 

 

3.1  変数定義と単回帰分析の方程式

  x:独立変数         YY=a+bX上のyの値

  y:目的変数            XY=a+bX上のxの値

  n:観測数          r:相関係数

   a:母切片          r2:寄与率

  b:母回帰係数

  y:目的変数の平均値

    Y = a + bX

     

              

 

 単回帰分析は独立変数が時間以外の変数の場合にも使用できる。このような場合には、単回帰分析は偶発的予測モデル(Causal forecasting model)と呼ばれる予測モデルの中の1つとして位置付けられる。これらのモデルは目的変数と1つもしくは複数の独立変数との関連性を測ったり、確立したりする際の予測として発展している。この種のモデルは売上の転機を予測するのに優れている。

 相関係数(r)とはyとxの相関関係の重要度である。

 rという係数は−1から+1の数値をとり正負は関係の方向性を表し、また数値の絶対値は関係の強さを表している。 rとbの符号は常に同じである。負のrはyとxの値が反対の方向へ、正のrはyとxの値が同じ方向へ移行していくことを表している。以下に幾つかのrの値の意味を表す。

1:完全な負の関係    yが上昇するに連れてxが下降する。またyが下降ならxが

                  上昇である。

1:完全な正の関係    yが上昇するに連れてxも上昇する。またyが下降ならxも                                                

                    下降である。

  0: yとxには関係がない。

 


 相関係数はxとyの関係を数値化する際に役立つが、強い、適度、弱い、といった言葉は関係を表すには的確な表現とは言えないだろう。決定係数であるr2は相関係数rを二乗したものであり、rからr2への変化は、関係の数値化を主観的なものから、より明確なものへすることが出来る。 yの変化量には次の3種類が存在する。

全体の変化量は全てのyの値からその平均値であるyを引いたものの二乗の合計で

ある。

 説明のつく変化量はトレンドライン上のYからyを引いたものの二乗の合計である。

 説明のつかない変化量(ランダムで定義できない量)は、yからトレンドライン上のY

 を引いたものの二乗の合計である。

テキスト ボックス: である。

 決定係数は説明のつく変化量が全体の変化量の中で占めている割合で決まり、式は


 従って決定係数は、従属変数であるyで表される全体の変化量が、どの程度xやトレンドラインによって説明がつくかということを表している。

決定係数r2=80%とは、取り上げた独立変数(y)80%を説明している事を示している。即ち残りの20%はx以外の変数あるいは偶然性が占めていると判断できる。即ち相関係数と決定係数は独立変数と従属変数の値の関連度を測定するのに役に立つ。関連性が強いほどこの方程式からより正確な予測を立てることが可能である。しかし単回帰分析による解析は扱う独立変数が1つであるがために複雑な現実の世界の問題、特にビジネス分野の様に高い正確性を求められる予測には限界がある。そこで複数の独立変数によってより精度の高い予測を行なうために重回帰分析が行なわれる。例えば、次期の売上げ(Y)は国内の貨物の積荷(X1)から全人口(X4)の4つの独立変数から示される。


  

   Y=次期の売り上げ(百万円)

   X1=前期の国内の貨物積荷(百万)

   X2=GNPの成長率(%*一万)

   X3=地方の失業率(%*一万)

   X4=全人口(千人)

 

 考え方は単回帰分析のY=a+bXと同様であるが、注意すべき点はXが前期の数値であるということである。このようなXを前もって分かっている事より先立つ指標(leading indicator)と呼ぶ。予測を行うときには、この様な先立つ指標を常に見出すことが望ましい。何故なら独立変数Xの見積もりを行う必要がないからである。

 ここでは扱わないが、非線型重回帰分析,Stepwise Regression,部分相関係数,重相関係数なども予測の分析手法として知られている。より繊細な手法であるが基本的概念は同様のものである。

 

3]−3−3  誤差の範囲の予測

 誤差単回帰分析は将来の見積もりを行うもので常に誤差が生じる可能性がある。従って予測を誤ったり偶発的な変化量に直面することは良くあることである。誤差範囲の予測は過去のデータから起こり得る範囲を設定することによって、不正確な予測を解析することができる手法である。つまり将来起こりそうな事を予測の中に含む様な偶発的計画を行ない、かつ信頼性を高めることを目的としている。この範囲予測によって、柔軟な対応が可能になる。

予測の標準的誤差(=予測の標準偏差):Syx


誤差の上限:UL、下限:LLは次式で与えられる。

            UL (Upper Limit) = Y + t・Syx

            LL (Lower Limit) = Y - t・Syx

 

3]−3−2 季節変動の予測

 季節変動のパターンは普通一年の間に起こり、そして毎年その傾向が繰り返される。これらの季節変動は天候、休日、給料日、行事などによって引きおこされる。予め原因と変動のパターンが解明されているため、実際に予測を行なう時はそのパターンを当てはめる。

(例1) 季節変動を考えた予測

 佐藤工業の佐藤さんは来年の各四半期の資金、人員、及び原材料と必要生産量の算出を試みたい。過去3年間の各四半期ごとの売上データから、毎年売上は同じような季節変動をしており、来年もそうなるであろうと考えられる。もし佐藤が来年の売上を予測できれば、目的とする必要な資金、人員、及び原材料と生産量を決定できると考えられる。

 

. 過去の売上情報を整理する。

 

 

四半期ごとの売上(単位:千)

 

 

年次

Q1

Q2

Q3

Q4

合計

 

8

320

630

500

620

2,070

 

9

280

720

520

480

2,000

 

10

380

800

440

540

2,160

合計

 

980

2,150

1,460

1,640

6,230

平均

 

326

716

486

546

519*

季節指数(S.I.*

0.629

1.381

0.938

1.053

 

*S.I. = (四半期ごとの平均)/(全体の平均)=(四半期ごとの平均)/519

 

2. S.I.(季節指数)で各四半期のデータを割って季節変動をなくす。

  例えば、320÷0.629508.7630÷1.381456.2など。

 

季節変動をなくした四半期ごとの数値

年次

Q1

Q2

Q3

Q4

8

508.7

456.2

533.0

588.8

9

445.2

521.4

554.4

455.8

10

604.1

579.3

469.1

512.8

 

 

3. 季節変動をなくしたデータ(全12四半期)を用いて回帰分析を行い、来年の各四半期の予測をする。

 

時期

X

y

Y2

X2

xy

8年次Q1

1

508.7

258,775.69

1

508.7

8年次Q2

2

456.2

208,118.44

4

912.4

8年次Q3

3

533

284,089

9

1,599

8年次Q4

4

588.8

346,685.44

16

2,355.2

9年次Q1

5

445.2

198,203.04

25

2,226

9年次Q2

6

521.4

271,857.96

36

3,128.4

9年次Q3

7

554.4

307,359.36

49

3,880.8

9年次Q4

8

455.8

207,753.64

64

3,646.4

10年次Q1

9

604.1

364,936.81

81

5,436.9

10年次Q2

10

579.3

335,588.49

100

5,793

10年次Q3

11

469.1

220,054.81

121

5,160.1

10年次Q4

12

512.8

262,963.84

144

6,153.6

合計

Σx=78

Σy=6,228.8

Σy2=3,266,386.52

Σx2=650

Σxy=40,800.5

 

 

 

4. 公式を用いて予測式を作成する。

       Y=a+bX=504.826+2.191X

 

5. Xに来年の各四半期の値である13141516を代入する。ここから算出される値は、

  季節変動をなくした来年の各四半期の予測値である(単位は千個)。

  Y13=504.826+2.191 (13)=533.309

    Y14=504.826+2.191 (14)=535.5

    Y15=504.826+2.191 (15)=537.691

    Y16=504.826+2.191 (16)=539.882

 

. 季節指数(S.I.)を使って季節変動のある予測値を算出する。

四半期

S.I.

季節変動のない予測値

季節変動のある予測値

Q1

0.629

533.309

335

Q2

1.381

535.5

739

Q3

0.938

537.691

504

Q4

1.053

539.882

568

 

 

3]−4 短期予測とパフォーマンスの評価

 短期予測は一般に数日から数週間のタイムスパンで将来の状態を予測する際に使われる。短期間ゆえ、周期性、季節変動、トレンドパターンの影響を受けることなくランダムな変動(ノイズ)を分析対象とする。この短期予測から、次期(次月、次週等)の生産品目及び生産数量、それに伴う原材料の調達量の決定。必要な工数の見積り等が行われる。

 短期予測モデルのパフォーマンスの評価はImpulse Response、ノイズ緩衝性、精度という3つの観点から評価される。その内容を次に示す。

 

Impulse Responseとノイズ緩衝性

 先に述べたように短期予測では、ランダムな変動、もしくはノイズを内包する。もし予測値にほとんどランダム変動が含まれていないならば、その予測値はノイズ緩衝性が高いと言う。また過去のデータの影響を敏感に受ける予測のことをImpulse Responseが高いと表現する。短期予測にあたって、一般にはImpulse Response及びノイズ緩衝性が高いほうが望ましいが、データの変化の影響を受けやすいセンシティブな予測システムとは必ず非常に多くのノイズを拾うものゆえ、その様な事はまずありえない。したがって予測者はImpulse Responseが高いか、もしくはノイズ緩衝性が高いか、いずれか効果の高いと思われる方を選ばなければならないのである。

 

・予測精度の測定

 予測モデルの精度は、実際の数値が予測値にどれだけ近いかの評価によるが、通常次の3つの方法が使われる。

(1)予測値の標準偏差ー(Syx)

(2)分析MSE(Mean Squared ErrorSyx)2


(3)予測値と実績値の差の絶対値の平均(MADMean Absolute Deviation

予測誤差が正常範囲なら、MADSyxとの関係は次のように表される。

             Syx=1.25MAD

MAD,SyxMSEは長期、及び短期予測モデルの予測後の精度を測定するために使われる。尚、MADは短期予測モデルを作成する際の便利な評価指標としても利用される。

 次項より、短期予測の代表的な手法を示す。

 

 

3]−5 移動平均法

移動平均法は、最近のいくつかのデータを平均して、それを次の予測値として使用する方法である。次の例では、移動平均法の実際を説明している。

 

(例2) 移動平均を用いた短期予測

 

在庫管理者の小林は、各週における倉庫からの在庫流出量を見積もる短期予測システムを作ろうと思った。在庫の需要量は数週ごとにランダムに変動しているが,全体では安定して推移している。会社の本部からきたアナリストは、35もしくは7週ごとの移動平均をとるよう提案した。このうちの一つを採用する前に、過去10週間の予測をしてみることでそれぞれの精度を比較しようと考えた。

 

 

 

 

 

. 3,5,7週ごとの移動平均を計算する。

 

 

実測値

 

予測値

 

(単位:千ドル)

AP=3週間

AP=5週間

AP=7週間

1

100

 

 

 

2

125

 

 

 

3

90

 

 

 

4

110

 

 

 

5

105

 

 

 

6

130

 

 

 

7

85

 

 

 

8

102

106.7

104.0

106.4

9

110

105.7

106.4

106.7

10

90

99.0

106.4

104.6

11

105

100.7

103.4

104.6

12

95

101.7

98.4

103.9

13

115

96.7

100.4

102.4

14

120

105.0

103.0

100.3

15

80

110.0

105.0

105.3

16

95

205.0

103.0

102.1

17

100

98.3

101.0

100.0

 

予測値は元のデータに比べ、ある数を中心に変動することに注意。

 計算例――第10週の予測

 

注:第10週目の予測値を求めるのに第10週目の実測値は含めない。

 

 

 

 

 

 

. 各APに対する予測値と実測値との差の絶対値の平均(MAD:Mean Absolute

  Deviation)を求める。

 

 

 

予測値

 

実測値

AP=3週間

AP=5週間

AP=7週間

(単位:千ドル)

予測値

予測値

予測値

    8

  102

  106.7

   4.7

 104.0

   2.0

 106.4

    4.4

    9

  110

  105.7

   4.3

 106.4

   3.6

 106.7

    3.3

   10

   90

   99.0

   9.0

 106.4

   16.4

 104.6

   14.6

   11

  105

  100.7

   4.3

 103.4

    1.6

 104.6

    0.4

   12

   95

  101.7

   6.7

 98.4

    3.4

 103.9

    8.9

   13

  115

   96.7

  18.3

 100.4

   14.6

 102.4

   12.6

   14

  120

  105.0

  15.0

 103.0

   17.0

 100.3

   19.7

   15

   80

  110.0

  30.0

 105.0

   25.0

 105.3

   25.3

   16

   95

  105.0

  10.0

 103.0

    8.0

 102.1

    7.1

   17

  100

   98.3

   1.7

 101.0

    1.0

 100.0

      0

差の合計

 

 104.0

 

   92.6

 

   96.3

その平均値(MAD

 

  10.40

 

    9.26

 

    9.63

 

. AP=5の場合のMADが最小であるので、AP=5の時に最も精度が高いと考えられる。

  AP=7の場合のMADAP=5の場合に比べてほとんど差がないので、もう少しサン

  プル数を増やして考えても良いかもしれない。

 

. AP=5として18週目の必要量を計算する。


                3.3 例2での実測値と予測値との比較

 


3.3は例2の実測値に対する3つの移動平均AP=3,5,7週の予測線である。APが大きいほどノイズ緩衝性が強く、ノイズの影響を受けにくい。AP=7の予測値のグラフは期間ごとの影響をそれほふど反映していないため他の2つに比べて滑らかで、ノイズを良く抑え、影響をあまり受けていない。APの選択は、望む精度の基準、Impulse Response、ノイズ緩衝性に依存し、実験的に求めなくてはならない。

 

3]−6 加重移動平均法

過去のデータに均等に重み付けを行なったものが移動平均法であったのに対し、時系列のデータが新しくなるほど予測値の影響が大きくなる場合は、不均等に重み付けをした方が望ましい。

 

実測値

加重(ウェイト)

第7週

50

0.20

第8週

60

0.30

第9週

66

0.50

     

                 予測値 Y10 = 0.2(50)+0.3(60)+0.5(66) = 61

 

 指数平滑法

指数平滑法を行うための変数、変数の定義及び公式が表3.2に示されている。指数平滑法は、前の予測値と実績値の誤差に01の範囲で与えた平滑化係数(α)を掛けることで得た調整幅を前期の予測値に足すことで次期の予測値を得ようとするものである。

 

       3.2 指数平滑法の変数の定義と公式

 


 


 

 


(例3) 指数平滑法による短期予測

 次のデータから週ごとの倉庫需要在庫を予測したい。

 平滑定数   =0.1, 0.2, 0.3とし10週後の予測をする。

 

1.                          を用いて計算をする。n=週、A=実データ、F=予測値


 


2. 実データと予測値の差をとる=絶対誤差

           絶対指数の平均ををる=平均絶対誤差


 


3. 平均絶対誤差がもっとも小さいものを選択する。この場合、 α =0.2

4.  =0.2として18週の予測需要を求める

           F18=F17+0.2*(α17-f17)=97.8+0.2*(100-97.8)=98.2もしくは98,200

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


3.4 平滑定数αと予測

 

  3.4から   の値が高くとも精度ある予測が出来るとは限らない事より実験的にαの値を決めなければならない。