2.1 実験ストーリー@

今回、君はコンビニエンスストアワーソン高田馬場店の店長 となり、この店での問題を解決してもらう。

ある日、君は東京区部を統括するO統括部長に本社まで呼び出された。

O統括部長 「最近、高田馬場店の業績が 他の新宿地区の店舗と比べて、 著しく落ちているんだが・・・・」
「・・・・」
O統括部長 「高田馬場店がある地域は、企業・大学・各種専門学校がたくさんあり、 店舗の前の通りも人通りは決して少なくない。 またワーソン全体では、新製品を次から次へと投入しており、それらは全国的に好評を得ている。 よって今回の高田馬場店の大幅な売上の落ち込みは、 店舗固有の問題である可能性が高い。 君は、この原因を早急に調査し、なんらかの対策を立てて欲しい」
「分かりました。」

 高田馬場店は昨年の11月にオープンしたばかりで、オープン当初は好調なスタートを切った。 しかし現在、最近の日本を襲った不景気により、 流通業界全体が売上が大幅に落ちるなどの深刻な問題を抱えている。 それはコンビニ業界といえども決して例外ではない。
 君は売上がオープン当初に比べ、確かに落ちていることに気づいていたが、 日々の業務に追われ、何らかの対策をとることを遅らせてきてしまった。 君は高田馬場店をオープン当初以上の売上をあげるように改善する決意を胸に秘め、高田馬場店に戻った。 君は早速売上の落ち込みを調査するため、高田馬場店を訪れるお客さんに対して 店舗の不満に関するアンケートを行った。 その調査結果をまとめたものが下の表である。



このグラフをみると、高田馬場店では 「欠品が多い」 という項目で6割以上を占めている。 よってまずこの項目に対して、なんらかの対策を練ることが最も改善効率が高いと考えられる。
しかしこの問題に対してなんらかの対策を練るといっても、 具体的にどうすれば良いのだろう?
君は心底悩んでしまった。そんな時思い出したのが、中学校時代の親友であり、 現在W大学で教授をやっているYであった。 Yは大学では生産・物流システムを研究していると先月の同窓会で言っていた。 君はYに相談すれば、なんらかの対策に関するヒントが得られるかもしれないと思い、 早速今晩電話をしてみることにした。

(電話にて)
「実は自分が店長をしている店舗の改善で行き詰まって、困り果てているところなんだが、 何か良い方法はないかな?」
Y教授 「分かった。それじゃあ明日、久しぶり馬場で飲みながらでも話さないか?」
「助かった、恩に着るよ。それじゃあ明日7時にビックボックス前で。」

(居酒屋にて)
Y教授 「それじゃあ今の高田馬場店の状態を詳しく教えてくれないか。」
「実は最近うちの支店の売り上げがかなり落ち込んでいて、それがどうやらうちの支店 固有の問題らしく、早急に対策を練りたいんだ。それで売り上げ落ち込みの原因を調べるために アンケートを実施して、 「欠品が多い」 という大きな原因を見つけたんだが、どうもそれに対する具体的な取り組みをどうすれば良いか、 いまいち良く分からないんだ。」
Y教授 「大体状況はつかめた。「欠品が多い」という問題は、 製品の 需要予測 及び 発注システム が確立していないことが原因じゃないだろうか? 製品の発注をかなりの部分経験則に頼っているのが現状じゃないかい?」
「その通りだよ。経験則に頼ったかなりいいかげんな発注のため、欠品だけではなく売れ残りも かなり発生しているんだ。」
Y教授 「分かった。まず始めに発注システムの基本的な考え方と需要予測について簡単に理解してみよう。 その後いくつかの手法を用いて、実際に高田馬場店の改善案を模索してみよう。」
「うん、分かったよ。」